ハレー彗星 (1P)

約76年ごとに地球に近づく有名なハレー彗星です。
1986年の回帰は、地球・彗星・太陽の位置関係が非常に悪く、、大彗星の感はありませんでした。
それでも、双眼鏡等を使うと夜空に尾を引いて浮かぶハレー彗星を堪能することができました。

この彗星が周期彗星であることを初めて明らかのしたのは、イギリスの天文学者 エドモンド ハレー
(Edmond Halley,1656-1742 )であり、その功績によりこの彗星に彼の名前が付けられました。
1705年に発表されたSynopsis Astronomia Cometicae(『彗星天文学概論』)の中 で、ハレーは、この彗星が次回は、1758年に回帰すると予言したのです。
彼は1337年から1698年に観測された24個の彗星の軌道を研究し、分析の結果、1531年,1607年,1682年の彗星はほとんど同一の軌道を動いていて、約75年の間隔で現れていることに気がつき、次は1758年に現れるだろうと結論づけたのです。
彼はこの回帰を待つことなく1742年に84歳で亡くなってしまいましたが、1758年12月25日、ドイツの農夫でアマチュア天文家でもあったヨハン・ゲオルク・パリッチュ
(Johann Georg Palitzsch,Prohlis, Germany)がこの彗星を予報通りに発見し、ハレーの予言が正しかったことが証明されました。
このことにより、当時の天文学者は、「ハレーの彗星
(当時は Halley's Comet と呼ばれていました)」と1531年の回帰よりも前の彗星とを関連付けることを試みました。
その結果、23の回帰が同一であることがわかり、最も古いものは紀元前239年までさかのぼることが出来たのです。
彗星の名前で、発見者ではなく、その彗星の研究者の名前が付けられているのは、このハレー彗星やエンケ彗星、クロンメリン彗星など、数個の彗星のみです。

 

1986年3月4日 05h05m〜10m(露出5分)
撮影地:茨城県守谷市,利根川河川敷
機材:ペンタックス75EDHF(7.5cm屈折望遠鏡,fl 500mm)
フィルム:トライX

<<撮影者のコメント>>
日の出前の河川敷は、モヤが出てきて撮影に支障があるかと思いましたが、
何とかハレー彗星を写すことが出来ました。
青白いコマから尾をなびかせた姿は印象的でした。

 撮影者:長谷川久也

1986年3月18日未明
撮影地: 筑波山,風返し駐車場
機材:タカハシFC76(7.6cm屈折望遠鏡,fl 600mm)
フィルム:フジカラーHR400
撮影者:内堀健二



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1986年3月18日未明
撮影地:筑波山,風返し駐車場
機材:オリンパスOM-1+オリンパス50mmレンズ(F1.8→2.8)
フィルム:フジカラーHR400
 撮影者:長谷川久也

 

1986年4月8日 03h15m〜5分露出
撮影地:八方ヶ原(栃木県)
機材:オリンパスM-1+オリンパス ズイコー50mmレンズ(F1.8→4)
フィルム:サクラカラーSR1600
<<撮影者のコメント>>
中央付近にある標識(逆三角形)の上方にあるボーっとしたのがハレー彗星です。
この日はハレー彗星の地球最接近日の3日前でしたが、同彗星が日を追って南下していったため、
日本からは低い高度でしか見ることは出来ず、あまりパッとした姿ではありませんでした。
7×50双眼鏡でも尾は微かにしか確認することは出来ませんでした。
しかし、たとえ南半球へ行ったとしても、ハレー彗星と地球の位置関係から、
今回の回帰は長い尾を見ることは出来なかったようです。
画面左上の線は、流星か人工衛星の光跡です。

撮影者:長谷川久也