コホウテク彗星(C/1973 E1)

コホウテク彗星(認識符号:C/1973 E1)は、1973年3月7日にチェコの天文学者、ルボシュ・コホーテクさんがドイツにあるハンブルグ天文台の口径80cmのシュミットカメラを使い、16等級で発見した彗星です。
発見当初の観測から、同年12月28日に太陽に0.14天文単位まで接近し、明るさは−5等 〜 −10等になると予想され、1910年のハレー彗星を上回る20世紀最大の彗星になると期待されました。
「20世紀最大の彗星」というニュースは各メディアでも取り上げられ、一般の人も含めて大騒ぎとなりました。
しかし、いざ地球から明るく見える時期である1974年1月初めになってみると、夕方の超低空に0等という観測があるものの、高度が高くなって見やすくなった1月中旬には、尾の長さは10度ほどで、明るさも3等級程度でしかなく、しかも、その後は急速に暗くなってしまい、期待していた人達を大変落胆させたというエピソードが残っています。
(下の写真は、撮影者である長谷川久也氏が高校生の時に撮影したものです。)



1974年1月6日  17:45(露出1分)  
撮影地:茨城県守谷市(自宅2階の窓から撮影)
機材:オリンパスM-1+オリンパス・ズイコー50mmレンズ(F1.8開放)
フィルム:トライX(2倍増感現像),固定撮影 
<<撮影者のコメント>>
肉眼では確認できませんでしたが、『この辺かなー』という位置を撮影したら、写っていました。
一番明るい星は宵の明星:金星で、その左上にある明るい星は木星です。
          


    1974年1月9日  17:50(露出5分)  
    撮影地:茨城県守谷市(自宅庭から撮影)
    機材:オリンパスM-1+オリンパス・ズイコー50mmレンズ(F1.8→F4)
    フィルム:トライX(2倍増感現像),ガイド撮影(手動) 

     <<撮影者のコメント>>
      ガイド撮影で撮ってみました。 当時は、モータードライブが普及していない時代でしたので、
      冬の季節の手動によるガイド撮影は、手がかじかんで寒さが身にしみるものがありました。
      透明度の良い冬の夕闇に、金星と木星が輝きながら仲良く並んでいるのが印象的でした。


1974年1月12日  18:00(露出10分)
撮影地:茨城県守谷市(自宅庭から撮影)
機材:ペンタックスSP+ペンタックス200mmレンズ(F4)
フィルム:トライX(2倍増感現像),ガイド撮影(手動) 

<<撮影者のコメント>>
友人から借りた200ミリレンズでコホーテク彗星のアップを狙いました。
厳冬期、しかも200ミリ望遠レンズの10分手動ガイドは、さすがに難しく、星が流れて写ってしましました。
この日は、8.5cm反射望遠鏡で初めてコホーテク彗星
を見ることが出来て感動したのを覚えています。

撮影者:長谷川久也






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