ホームズ彗星 (17P)
ホームズ彗星(17P)は公転周期が6.9年の周期彗星で、通常は16〜17等級の非常に暗い彗星ですが、2007年10月24日にアウトバーストという現象を起こし、普段より15等も明るい約2等級まで急激に増光し、肉眼でも観測されました。 アウトバーストにより広がったコマは、日ごとに大きくなり11月下旬には、見かけの上では月の大きさよりも大きくなりました。 そして、この時期の実際の大きさは、なんと太陽よりも大きくなっていたと推測されています。 その後も、拡散を続けましたが、全光度はそれほど落ちず、2008年に入っても明るさは3〜4等級で、夜空に浮かぶ淡く丸い雲のように観測されて、その後次第に淡くなっていきました。 このアウトバーストという現象は、彗星核から一時的に大量の塵やガスが吹き出し、その大量に放出された物質が太陽の光を反射し、明るく輝いて見える現象のことで、これほどの等級差で明るくなるのは大変珍しいことです。 下の写真は、アウトバースト翌日から当会の会員が撮影したものを日ごとに並べてあり、アウトバーストの変化を見る上で貴重な資料となります。 ホームズ彗星の発見もアウトバーストによるもので、1892年11月6日、イギリス人のエドウィン ホームズ(E. Holmes ,London, England)が発見しています。 彼はアンドロメダ銀河(M31)の常時観測者でしたが、この日はあまり天気が思わしくなく、32cm屈折望遠鏡で木星と二重星の観測を終えようとした時に、アンドロメダ座μ星とM31の間付近に淡い光芒を見つけました。 望遠鏡を向けると、それは輝く集光部を持つ、視直径5分ほどの彗星でした。発見時間は11月6.98日です。 それから、雲が来てしまう前に急いで大まかな位置を決定しました。(7.03日) 彼は直ちにグリニッジ天文台のエドワード・ウォルター・マウンダー(E. W. Maunder,Royal Observatory, Greenwich, England) 、イングランドのウィリアム・ヘンリー・マウ(W. H. Maw,England )、ブラムリーのキッド(Kidd,Bramley, England)に知らせましたが、キッドは、M31にあまりに近いので、M31と見間違えたのではないかということで、すぐにホームズの発見は疑わしい、と述べたといいます。 しかし、7.75日(翌日)に、そのキッドと、同じくブラムリーに住むバートレット(Bartlett,Bramley, England)の2人は、肉眼でこの彗星を確認しました。 同彗星は、11月8.9日にエジンバラのトーマス・デーヴィッド・アンダーソン(T. D. Anderson,Edinburgh, Scotland)によって、11月9.5日にオーストラリア、マッケイのジョン・エウェン・デーヴィッドソン(J. E. Davidson,Mackay, Queensland, Australia)によって、それぞれ独自に発見されています。 初期の概算軌道は、ハインリヒ・クロイツとジョージ・サールによってそれぞれ独自に計算され、改良軌道は近日点を通過したのが6月13日だったこと、公転周期が6.9年であることを示しました。 これらの計算によって、この彗星は行方不明のビエラ彗星(3D/Biela)の回帰ではないことも明らかになりました。 1899年と1906年にもこの彗星の回帰は観測されましたが、その後は行方不明になってしまいました。 しかし、ブライアン・マースデンによるコンピューターを用いた予測に基き、1964年7月16日にアメリカ・アリゾナ州フラグスタッフのアメリカ海軍天文台でエリザベス・レーマーが19.2等で再発見し、それ以降はすべての回帰で観測されています。 |
2007年10月25日 古山茂 西山洋 |
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10月28日 古山茂 長谷川久也 西山洋 古山茂 |
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10月30日 古山茂 |
10月31日 久保庭敦男 古山茂 |
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11月17日 久保庭敦男 |
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11月21日(その2) 古山茂 西山洋 |
11月22日 古山茂 古山茂 |
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12月5日(その1) 久保庭敦男 古山茂 |
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12月5日(その2)
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