ジャコビニ彗星(205P, P/2008 R6)
山形県の板垣公一氏と北海道の金田宏氏は、2008年9月10.56日(世界時)に口径21cmF5の反射望遠鏡を使用して撮像した、わし座のCCD画像に13等級の彗星を発見しました。 強い中央集光があり、約25秒角のコマと東南東に伸びる2分角の尾がある、と発見時の報告がなされています。 この彗星は、その後の軌道解析により、1896年に出現し、ほぼ1世紀にわたって行方不明となっていたジャコビニ彗星:D/1896 R2 (Giacobini) であると同定されました。 このジャコビニ彗星は、周期がおよそ6.7年の短周期彗星で、1896年9月4.84日にへび座で発見されています。 発見者はフランスのジャコビニ氏:Michel Giacobini (Nice Observatory)で、彗星は1分角の丸く淡い形状、と述べています。 ドイツのW. A. Villiger氏は、翌日の9月5.83日にこの彗星を観測し、全光度11.3等としていますが、次第に淡くなっていきました。 また、9月26日には彗星核が2つに分裂しているのが観測されています。(核は1896年4月24日、既に分裂いていたという研究もある:1978年のZ. Sekanina 氏の研究) その後、この彗星は、さらに淡くなっていき、1897年の1月5日にアメリカのW.J. Hussey氏 (Lick Observatory)の91cm屈折望遠鏡での観測を最後に、次からの回帰時には観測されず、長い間行方不明になっていました。従って、今回の再発見は、111年ぶりということになります。 今回の再発見は、彗星を研究する上で貴重な資料となり、再発見の功績は非常に大きいと言えます。 |
2008-9-22 古山茂 |
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2008-11-28 古山茂 |