ウェスト・ハートレー彗星(123P) 

チリにあるヨーロッパ南天文台のリチャード・マーティン・ウェストさん(Richard Martin West)は、1989年5月11日に、新彗星を写真上で発見しました。
その写真は、ラ・シヤ天文台(チリ)のG.ピサロさん(G. Pizarro)が2ヶ月ほど前の1989年3月14.32日(世界時)に、ESO Quick Blue サーベイの拡張のために撮影した写真乾板でした。
ウエストさんは、「彗星は、拡散したハロに包まれた集光部があり、PA310°の方向に0.5′の尾がある」と説明しています。
彼は当初、1日に210″移動するとしていましたが、この彗星の写真は1枚だけしか得られていなかったので、その移動方向は、疑わしく、PA45°方向か、PA225°方向か判断が付きませんでした。
この情報をもとに、アメリカ・天文電報中央局(Central Bureau for Astronomical Telegrams)のマースデンさん(Brian G. Marsden)が、楕円軌道と放物線軌道の両面からこの彗星の位置計算をしました。
その結果を手にしたオーストラリアのロバート H.マクノートさん(Robert H. McNaught)は、この彗星がもしPA225°の方向に移動しているとしたら、自分が1989年4月28日(世界時)にオーストラリア・サイディングスプリング天文台にあるUKシュミット望遠鏡(口径1.24m)で写した写真乾板に写っているかもしれないと思い、確認しましたが、写っていませんでした。
1989年5月28.47日(世界時)に、オーストラリア・サイディングスプリング天文台にあるUKシュミット望遠鏡で、ヒューズさん(S. M. Hughes)が撮影した、Jサーベイの写真乾板上に、マルコム・ハートレイさん(Malcolm Hartley )が新彗星を発見しました。
全光度17.0等で、PA305°方向に4′の尾が伸びて写っていました。
マクノートさんは、この彗星の位置がマースデンさんが計算したウエストさん発見の彗星の楕円軌道の位置に実に近いので、同じ彗星ではないかと考えましたが、もしウエストさんの彗星だとしたら、マースデンさんの計算値で4月28日の位置は、ハートレイさんが撮影した写真乾板の写野の外になるので思案に暮れていました。
一方、マースデンさんは、ウエストさんとハートレイさんから精密な彗星の位置を得た結果、これら2つの彗星が似た軌道であることはわかりましたが、この時点では「まだ、とても不確実である」と思いました。
しかし、その後の観測で、これらの2彗星は同一の周期彗星であることが判明し、この彗星は「ウェスト・ハートレー彗星」と命名されました。
現在の周期は、7.5年(2018年現在)


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2019-01-17
123P/West-Hartley  (1)
野口敏秀
2019-03-08
123P/West-Hartley  (2)
久保庭敦男
   






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