第18回“大学と科学”公開シンポジウム(文部科学省補助事業)
「ビッグバン宇宙の誕生と未来」(2004, 1・31〜2・1)概要
藤井徳寿
1. シンポジウム開催の趣旨:国の補助金による大学の研究成果を社会に公開還元する為に毎年色々なテーマに付き7〜8回開催(天文に関しては1回程度).
2. 本年度は東大(ビッグバン宇宙国際研究センター)を中心として最新の宇宙論や観測の状況について15件の講演あり.
3. 概要:
(1) 宇宙論研究はインフレーションを含むビッグバン宇宙論が標準理論の地位を獲得し、最近の素粒子論の進展に伴い更に発展し“ブレーンワールド”宇宙論”等もでてきている(ここら辺になると凡人には???).
(2) 最近の宇宙論は更に,観測や実験等による精密宇宙論の発展と謎項目の解明などへの挑戦が盛ん,机上の知的活動から“天文学”となってきているとの事.
(3) 最近の宇宙論的観測結果:
・ 宇宙斥力の発見(宇宙は暗黒エネルギーで満ちており,その斥力で加速度的に膨張)
・ ハッブル定数:68~75km/S/MPC
・ 宇宙年齢:137±2億年
・ 最初の星の誕生:ビッグバン後2億年
・ 宇宙構成の主要物質:通常物質4%+暗黒物質(重力が作用)23%+暗黒エネルギー(重力は作用しない,宇宙斥力が作用)73%=100%
(4) 各種プロジェクト:
・ SDSS(銀河探査の日米独共同):全天の1/4の約5千万個の銀河(内約100万個と10万個のクエーサーの距離含む)のデータベース作成し
20億光年迄の3次元地図作成.
.マグナム望遠鏡(ハワイ島設置):2mの完全無人遠隔操作によるクエーサーの長期連続モニター研究.
.暗黒物質(ニュートラリーノ)探査:神岡に高感度ボロメーター設置.
.気球による宇宙起源反粒子探査:超伝導スペクトロメーター搭載の気球を南極周回飛翔実験準備中.
.富士山頂サブミリ波鏡:炭素原子からの波長透過性の良い山頂で1.2m無人遠方操作鏡で星間分子雲の研究中.
.其の他アルマ計画等.
本シンポジウムの論文集は数カ月後発行,叉今後のシンポジウム情報は http://www.kuba.co.jp/ から申し込んでおくと案内等がくる.