小惑星 ファエトン(3200 Phaethon)
小惑星「ファエトン」は、1983年10月11日に赤外線天文衛星 (IRAS) の画像から発見され、「1983 TB」 として仮符号が付けられました。 当時は、彗星状ではなく恒星状であると報告されています。 その後の観測で、この天体の軌道要素が毎年12月中旬に多くの流星を出現させる「ふたご座流星群」の軌道要素と一致することがわかり、この天体がふたご座流星群の母天体であることが判明しました。 また、その軌道は水星の軌道のはるか内側まで入り込み、太陽に非常に接近する軌道であったので、ギリシア神話に登場する太陽神ヘーリオスの息子パエトーン(ラテン語ではファエトン)にちなみ、ファエトン(Phaethon)と命名されました。 21世紀初頭までの調査では、ファエトンからはコマやダストテイルなどは観測されていませんでしたが、ふたご座流星群の母天体と確定したことやスペクトル観測の結果などから、ファエトンは塵を出し尽くした彗星の成れの果て(彗星・小惑星遷移天体)であると考えられるようになりました。 ところが、2009年6月、STEREO衛星の観測により一時17等級から10等級に急激に増光し、2012年5月にも同様に増光が観測されました。 データ解析の結果、この天体に尾が観測され、この天体が未だに彗星として活動していることが明らかとなっったのです。 ファエトンは、地球近傍小惑星で、アポロ群に属していますが、数十年に一度の割で地球に近づき明るく観測されます。(上記のような突発の増光を除く) 暗い時は20等級ですが、2017年12月の地球接近では10等級にまで明るくなりました。 次に10等級程にまで明るくなるのは2060年で、その次は2093年となるので、下記の写真は明るくなったフェアトンの貴重な資料と言えるでしょう。 公転周期は約1.43年です。 |
2017年11月16日 1:33から2分×16コマ・小惑星基準コンポジット ,撮影地:茨城県牛久市 機材:笠井トレーディング製GS200RC+NEX-7+LPS-P2フィルタ(fl=1218mm)
|
||
|
上の写真のGIFアニメーション |
||
2017年12月9日 23:45から1分×30コマ・恒星基準コンポジット ,撮影地:茨城県牛久市 機材:笠井トレーディング製GS200RC+NEX-7+LPS-P2フィルタ(fl=1218mm)
|
||
|
2017年12月11.48282日(UT) 3秒露光×16フレーム 撮影地:香取天体観測所 機材:23.5cm(F6.3)シュミットカセグレン+FLI ML0261E CCDカメラ <精測位置> 赤経 05h 00m 22.48s 赤緯 +45° 07′ 33.5″ 光度 11.0等 |
|
|
2017年12月13日 2:56から30秒×30コマ・小惑星基準コンポジット ,撮影地:茨城県牛久市 機材:BORG125EDF4+D5500+LPS-P1フィルタ (fl=500mm)
|
||
|
2017年12月17日 20:00から20秒×90コマ(露出計30分)・恒星基準比較明合成 , 撮影地:茨城県牛久市 機材:BORG125EDF4+D5500+LPS-P1フィルタ (fl=500mm)
|
||
|