シリウスB

シリウスは、おおいぬ座にある1等星で、太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星です。
また、距離は8.58光年で、太陽からすると5番目に近い恒星です。
実視等級は-1.46等、古代エジプトではナイル川の氾濫時期を知らせてくれる星として、非常に重要な働きをしていました。
肉眼では1つの恒星に見えますが、実際には、「シリウスA」と呼ばれるA型主系列星と、「シリウスB」と呼ばれる白色矮星から成る連星です。
かつてシリウスは明るい2つの恒星から成る連星系でしたが、より質量が大きいシリウスB(太陽の5倍)が先に寿命を迎え、1億2000万年前には赤色巨星になりました。
シリウスBはその後、外層を失い、現在の白色矮星になったとされています。 白色矮星とは、恒星が寿命を迎えた後に残される天体のことです。
シリウスBは、2005年にハッブル宇宙望遠鏡を使って測定され、直径は約12,000kmで地球の98%、白色矮星としては比較的大きい方とされています。
現在の表面温度は25,200K(24,927℃)ですが、内部に核融合反応のような熱源を持たないため、今後20億年以上かけてゆっくりと冷えていくとみられています。
シリウスBのシリウスAからの距離は、お互いに回りあっている楕円軌道のため、8.2〜31.5auの間で変化し、50.1年で公転しています。(参考:20au≒太陽と天王星の距離)
従って、地球から見た「シリウスA」と「シリウスB」との角距離は2秒台から11秒台と大きく変化します。
主星のシリウスA がマイナス1等級と明るく、伴星のシリウスB(8.4等)との光度差が大きいため、2星の離角が小さな時は、伴星を見ることが難しいのですが、2019年頃から2028年頃までは離角が11秒台と大きくなって確認しやすくなります。
下の図(シリウスAとBの位置,シリウスBの位置)参照

 

2019年2月19日 20時34分
・機材:MT-160+ASI 120MC(合成F8.3)
・露出:32ms, 64ms, 128msをHDR合成
・備考:シーイングが悪く、シリウスが踊っていました(笑) ,3.2倍(4,256mm相当)にトリミング

≪撮影者のコメント≫
約50年の周期でシリウスAの周りを公転しているシリウスBを撮影してみました。
シリウスA(-1.4等)とB(8.4等)の光度差が大きいのですが、今年から数年間、双方の離隔は11秒角台となり、観測し易いようです。


撮影者: 甲斐雅一








通常見かける「主星原点」ではなく、両星の共通重心を原点とした図です。
また図の方位は上を北にしています。 このほうがより実際の状態に近いイメージと考えられます。
 作図:久保庭敦男
 







作図:久保庭敦男




星雲・星団・超新星 写真コーナー TOP へ