シューメーカー・レビー彗星 木星に激突


1993年3月3月24日に発見されたシューメイカー・レビー第9彗星は、翌94年7月に木星の引力圏に捕らえられ、分裂した核は次々と木星表面に衝突し、その模様は世界中に中継され大きな注目を浴びました。
この彗星の分裂は、発見前の1992年、木星に接近遭遇した際に、本来ひとつであった核が木星の重力でばらばらに引き裂かれたと見られ、21個の分裂核が観測されています。 それぞれの彗星核の大きさは5km程度と推定されていますが、木星表面には地球の大きさにも匹敵するほどの巨大な衝突跡を残しました。

このシューメイカー・レビー第9彗星の木星衝突は、数千年に1度と言われるほど 珍しい現象であり、人類が初めて観測した大規模な天体衝突となりました。
当初は,この彗星の衝突後には木星には何の痕跡も残らず,通常の望遠鏡では何も見えないだろうと予想されていました。
それは、木星は地球と違って基本的にはガスの惑星であるため、そこへ彗星のような天体が衝突しても、目で見えるような痕跡はできないと思われていたのです。

ところが、実際は各衝突地点に、まっ黒な塵による痕跡ができたのです。
大きな核の衝突では、直径が2万kmを超えるほど巨大なものとなりました。
これらの痕跡は、その黒さと大きさのために木星面上では大赤斑よりも目立つ模様になりました。

このシューメイカー・レビー第9彗星の発見者は、シューメーカー夫妻(Eugene and Carolyn Shoemaker) とレビー(David H. Levy) で、彼らが発見した9個目の短周期彗星です。
最初は1993年3月24日に南カリフォルニアのパロマ山の46cmシュミットカメラによって撮影された写真乾板上に発見されました。
この13.8等級の新彗星は、最初の画像では'潰れて'いるように写っていたのですが、後にアリゾナのキットピークにあるスペースウオッチ望遠鏡で撮影された写真では、この彗星が実際には分裂したものであることがわかったのです。
彗星破片が列をなして並んでいるため、この彗星を「一連の真珠(A String Of Pearls)」と呼んでいる天文学者もいます。

 

 

 

1994年7月22日 19時45分(左),20時40分(右)  茨城県守谷市にて

15cm反射望遠鏡使用(Pentax or.5mmにて拡大撮影)

木星面下部の黒いシミのようなものが衝突痕で、木星の自転と共に移動しているのがわかる

撮影者:長谷川久也