フォボスとダイモス

 フォボスは火星の第1衛星、ダイモスは火星の第2衛星です。 いずれも1877年にアサフ・ホールによって発見され、ギリシア神話に登場する軍神アレースの息子、ポボス(「混乱、狼狽」の神)とデイモス(「恐怖」の神)にちなんで命名されました。
 大きさは、フォボスが直径が約21キロメートル、ダイモスが直径約12キロメートル程度の不規則な形をしていて、それぞれ7時間39分と30時間17分の周期で火星の周りを回っています。 これらの2衛星は、小惑星が火星の重力場に捕獲されたものだと考えられていますが、火星と大きな小惑星の衝突によって2つの衛星が形成されたという説も存在し、今のところ起源ははっきりしていません。
 フォボスは太陽系の惑星の衛星の中で最も主星(この場合は火星)に近く、火星の表面から5,900km程度の軌道を回っています。
また、フォボスの軌道は火星の静止軌道より内側にあるため、公転速度は火星の自転速度よりも速く、それゆえに火星表面からフォボスを見ると、1日に2回も西から上り東へ沈むという、珍しい動きを見ることができます。
さらに、軌道が表面に近いことは、火星の極地方から見ると、フォボスが地平線の下になってしまい、見ることができません。
 ダイモスは火星から見た静止軌道のわずかに外側を回っており、東から上りますがその運動は非常に遅く、東から昇って西の地平線に沈むまでに、2.7日もかかります。
これはダイモスの公転が火星の自転から少しずつ遅れるためで、平均して約5.4日後に再び東から上って来ます。


撮影日時:2018/08/02  1:40前後
撮影地:茨城県牛久市
機材:GS200(口径20cm,F8,リッチークレティアン望遠鏡)+ASI1600+9mm拡大 ,衛星像はモノクロ、火星像はLRGB合成(Lは赤外フィルタ)
   雲なし、微風、透明度3/5、月あり
   ※衛星と恒星周囲のみ強いASMフィルタ処理。

<<撮影者のコメント>>
長めの露出で火星の衛星を写してみました。 接近時ならではの被写体です。火星像は直後に撮影したものを合成しました。 
もう1時間早ければフォボスが火星より遠くて分離しやすかったのですが、曇っていて撮れませんでした。
撮影者: 久保庭敦男




撮影日時:2018/08/22  22:12頃と22:42頃 (2シーン切り替えGIF
撮影地:茨城県牛久市
機材:GS200(口径20cm,F8,リッチークレティアン望遠鏡)+ASI1600+9mm拡大、LRGB合成(Lは赤外フィルタ)
   雲なし、風なし、透明度3/5、月あり

<<撮影者のコメント>>
8月2日に続き、火星と衛星を写してみました。
今回は動きを見るため、30分置いて2シーン撮影し、GIF動画にしました。 本体の自転も分かります。
2枚目のほうはわずかに薄雲がかかっています。 水色線がフォボス(火星に近いほう)とダイモス、左上の黄色線は恒星(13.8等と14.7等)。
本体カブリやスパイダー光条を取り除くのに減算マスクを三重に施してあります。
撮影者: 久保庭敦男